天国のポスト
「加奈ちゃんッ!!恵子ちゃんに声言ってくれたー?」




「…店長」





「何よ加奈ちゃん、真面目な顔して」





「私ってー、無力なんですかね…」




「……は?」




加奈はカウンターの椅子に座って肘をつき、大きなため息をもらした。

店長はわけが分からない、と言いたげな顔で加奈の説明を待っている。




「だってー、こんなに近くにいても、元気になってくれないし」






あ、と店長は目を一瞬大きくして、恵子ちゃんね、と言うと、加奈は力なくコクンと頷いた。




「はぁー…私もなーんか元気なくなっちゃいます。なんかモヤモヤしててー……」




「あら、十分元気じゃない」



「表向きはですよー。これでも頭の中はいつも悩んで悩んでパンク寸前なんですからー」



加奈は頭を抱えながら、ブツブツ何かを言っていた。



「もぉそんな顔して接客なんてやめてちょーだいよ!!お客さん逃げちゃうんだからッ!!」



大丈夫ですよー、とベーッと舌を出して、店長に言い返す加奈は、小学生のように幼く見える。

実際にこの店で一番年下で16の加奈は、童顔のせいもあるが、少しでも子供ッポイ仕草をすると、ランドセルを持っててもおかしくないくらいに見えてしまう。

本人はそれを1番気にしてるみたいだけど……
< 8 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop