恋愛マニュアル
「とりあず、中入れ。」
あたかも自分の部屋と言わんばかりの言い様。
あえてつっこまないけど…
そう思いながらもさっきまであたしが掴んだいたはずの腕も今度はあたしが掴まれていて…
なんだか主導を取られた気分。
最初からあたしに主導権なんてないんだけど…
部屋に戻ったあたし達は立ったまま、向かい合っていた。
少しの沈黙の後、先に言葉を発したのはもちろんあたしではない。
「悪かった。少し調子に乗りすぎたな。」
あの、あの宮村浩太が謝った。
「……。」
だけど納得のいかないあたしは今も口を開こうとはしない。
だって…あたしは何もしてないのに…
散々だったもの。
下を向いたままのあたし。
チラっと目線を上に向けると、あたしを見る宮村浩太と目が合った。
「悪かった。」
目を合わせながらもう一度言われてしまえば…
「ん…」
無視なんてできるはずなかったんだ。