恋愛マニュアル
少し急ぎ足で玄関に向かい、ドアを開ける。
そこには私服の宮村浩太。
「よっ。」
お…おしゃれ…
前回、前々回と来た時はスーツだったから、初めての私服にあたしは見とれる。
なんていうか着こなしてる感満載。
身長高いからなおさらかっこよく見えちゃう。
ってこんなとこで浸ってる場合じゃなかった。
「ど、どうぞ。」
中途半端に開いたドアを開け、家の中へ招く。
「さんきゅ。」
軽く弧を描いた唇にまで見とれてしまう。
あたし、おかしい…?
「あ、お菓子持ってくんで先上がっててください。」
そう言ってあたしはキッチンのほうへ向かった。
冷蔵庫にはようかんとシュークリーム。
「んー…どっちにしよっかな…」
「俺、ようかん無理~。」
「じゃあ、シュークリーム…え?」
突然の背後からの声に驚いてあたしはすぐさま後ろを振り向く。
「キャッ!」
想像するよりも遥かに近く、というかあたしのすぐ後ろに立っていた宮村浩太にさらに驚いたあたしはバランスを崩した。
ダメ、転ぶ!
そう思ったのもつかの間。
「あっぶねー。」
床に倒れるはずだったあたしの体は見事に宮村浩太の腕によって支えられていた。