恋愛マニュアル
「そこまで。」
あたしの頭を背後からポンと叩くとニッと笑った。
「え!もう?」
まだ10分くらいしか経っていないような感覚。
だけど時計に目をやればちょうど30分経っていて…。
「お、結構できてんじゃね?」
机の上に広げたテキストを手に取りながらパラパラと目を通す。
「なんだ、8ページできてんじゃん。」
「うそ!?」
「ほんとー。」
自分ではせいぜい5ページ、なんて思ってたのに…
自分に自分でびっくりしちゃうよ。
「ほら、な?やればできるだろ?」
テキストを一旦閉じてあたしの頭に再び、ポンと手を乗せた。
「自分で限界を決めるな。やればできるんだから。」
今までにないくらいのまじめな顔で
「やってみなきゃわかんない、そうだろ?」
かと思えば口の端を少しだけあげて笑った。
だけど本当にそう。
さっきのあたしみたいなのはきっとダメ!
最初からなんでもできっこない。
なんて思ってできるわけないんだ。
まずはやってみなきゃ。
「…うん!そうかも!」
どうしよう…
今あたし、ものすごくやる気出てきた!
「な?だからお前もできるよ。」
「先生ありがとー!」
ついこの間は大嫌いって思っていたのに、なんだか今は少しだけ好感度アップ!