恋愛マニュアル


「何か今日かなり暑くね?」


額にうっすら汗を浮かべた先生にあたしは涼しい家へと催促する。


6時と言っても真夏なのだからまだ外はムシムシしている。



「じゃあ、飲み物取ってくるんで先上がっててください。」



「おう。」



キッチンへと足を運び、アイスコーヒーとケーキをお盆にのせて2階へ上がる。



部屋の戸を開けるとさっきまであたしがやっていた問題集をパラパラとめくる先生。



「さんきゅ。てかすげーじゃん。珍しく。」


思った以上に感心してくれる先生を見てあたしも嬉しくなった。



それはそうか。



勉強なんかやらないあたしが今日は軽く10Pはやっているのだから。



「ん、いい子。」


ニッコリ笑いながらあたしの頭をポンとする仕草に一気に顔がほてる。


ちょちょちょ!


ただでさえ暑いのに、どうしてそういうことするかな。



先生の手が離れた後、1人ほてる頬を冷まそうと必死なあたし。



「この分じゃ今日のは1時間くらいで終わりそうだな。」



ってことは…?



「残りの一時間勉強しなくていいの!?」



「できたらな?」



やったー!!


その一時間は先生とお話できるのかな?


聞きたいこともたくさんあるし、頑張らなきゃ!



一時間…頑張ろう!


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