恋愛マニュアル
その後、学校の友達と電話をしたり夕方のドラマの再放送なんかを真剣に見ていたあたし。
ドラマのちょうど盛り上がりの部分。
食べていたアイスを片手にギュッと握ってテレビに食いつくようにかまえていれば突然、家のチャイムが鳴った。
「もう~今は良いところなんだから無理。」
どうせ郵便か何かだろうと思い、そのまままたテレビに集中していたのだけど…
「ピンポーン」
再びなったチャイム。
さすがに居留守は使えないと思ったあたしは文句を言いながらも立ち上がる。
食べかけのアイスを片手に早足で玄関へと急ぐ。。
「はいはーい」
早く済ませて続き見なきゃ。
ドラマのことしか頭になくて。
何も考えずに玄関の扉を開けた。
するとそこには…
「こんにちは。」
え…
誰…?
見たことのない推定20代前半のイケメンが一人立っていて…。
「…どちら様でしょうか?親は今不在でして…」
内心ドキドキしながらその吸い込まれるような瞳に見つめられあたしの頭はもう真っ白。
ドラマのことなんかとっくに吹き飛んでいた。
呆然とつっ立っていたあたしは見てその人は
「君が美衣菜ちゃん?」
「…へ?」
突然まったく知らない人から名前を呼ばれたもんだからあたしの心臓はさらに早く動きだす。
「君のお母さんから夏休みの間だけ家庭教師頼まれて来たんだよね。」
ニッコリと笑ったその顔があまりにもかっこよくて一瞬見とれてしまいそうだった。
家庭教師…
まさか!
この人が!?
「ごめんなさい!1分だけここで待ってて下さい!」
まさか…
こんなかっこ良い人が家庭教師だなんて…
持っていたアイスを放り投げ、あたしは急いで2階へと駆け上がる。