恋愛マニュアル



「他に聞くことはないの?」



「…大学生?」



「そう。」



大学生か…


なんだかすごく大人な響き。



知らない先生をたくさん知りたい。


そう思うのはおかしいことじゃないよね?



もっと、もっともっと知りたくて…


だけど知れば知るほど、何か自分との差を嫌でも感じさせられてしまう。


それがものすごく嫌。



それでもやっぱり知りたいと思うのは、あたしが先生のこと…好きだから?




「彼女は…いますか?」



「は、いきなり敬語になったね。」


少し笑ってみせた後、



「いると思う?」



ってまた質問で返されてしまった。


黙り込むあたしに、


「いないよ。」


って優しく頭をポンと叩いて。



「…子供扱いしたでしょ?」


嬉しさのせいか、緩む頬を抑えようとしたあたしの口から出たのが、この様。

素直になれないあたしは、どうしてもひねくれてしまうみたいだ。



「子供じゃん?」


なんて、やっぱり子ども扱い。



「もう18禁コーナー入れるもん!」



あたしの文句にも似た反撃に噴出したのは先生で。



「お前ばっかじゃねーの。何だよそれ。」



いつまでも笑う先生にあたしは少しムッとして



「先生のばか。」



ってさっきまで向かい合ってた態勢を反転。


先生に背中を向ける形になった。




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