恋愛マニュアル
「何、拗ねてんだよ。」
背中から声がするけど、あえて無視。
「シカト…?」
「……。」
「おーい…。」
「……。」
いつまでも返事をしないあたしに何を思ったのか先生はいきなりこんなことを言い出して
「…帰ろっかな。」
その言葉に反応してしまったあたし。
「え!?」
っとすぐさま、振り向いてしまった。
そんなあたしを見て、
「ぷ…」
必死に笑いをこらえたのは先生で…
「もー…最悪。」
どうして、こう…
なんていうかあたしってからかわれてんのかな…
少しだけ嫌かも…
胸がまたチクンと痛んだ。
本気でしょげるあたしに気づいたのか先生は笑うのをやめて
「ごめんごめん。」
と謝る。
そして少しだけあたしとの距離を縮めながら
「お前素直で可愛いからさ、ついいじめたくなるんだよね。」
って悪戯っこのような笑みを浮かべて言った。
「…Sですか。」
「かもね~。」
なんて笑いながらあたしの頭をクシャクシャにかき回すその仕草に
「痛いー。」
なんて言うあたし。
でも本当はそんなの建前でにやけそうになる顔を抑えるので精一杯だった。