恋愛マニュアル
「たっだいまー!」
翌日。
「はい、これお土産~♪」
にぎやかに帰還した両親。
アロハシャツなんか着て、更に首からハイビスカスの首飾りをさげちゃったりなんかもして。
相変わらず期待を裏切らない。
まあ、期待なんてしてないけど。
「家庭教師の先生はどう?」
先生…
その言葉でハッとする。
気づいた自分の気持ち。
昨日のことはほとんど覚えてないけど、確か、いつものように8時に先生は帰った、と思う。
何の会話をしたとか、そういうのはまったく覚えてないけど…
それでもあたしはかなり先生のこと。意識しちゃって会話になってたのかすら危ういけど…
「ああ、うん。普通。」
「そ?かなりイイ男じゃない?ママもうーどうしよー!!」
オホホホ、なんて甲高い笑い声を上げたお母さん。
すぐそこにお父さんがいるっての。
「ママ…。」
なんて寂しい声を出したしょんぼり気味のお父さんに気づいたのか
「やーねえ!パパが一番に決まってるでしょ?」
って…
はいはい。
娘の前で堂々とイチャイチャすんのかい。
心の中で一つつっこみを入れながらあたしはリビングを後にする。