恋愛マニュアル
「だーかーらー、俺、客だよ?」
少し呆れた顔をしたイケメンもとい、あたしの家庭教師だと名乗るその人はそう言いながらこちらに近づいてくる。
ちょっ…!
一歩こちらに近づけばあたしも一歩後ろに下がる。
目を反らさないその瞳に吸い込まれそう。
「きゃっ。」
もはや背中には壁。
背水の陣っていうのはこういうこと?
なんて少し冷静な自分が笑える。
迫られてるあたし。
迫るイケメン。
初対面のはずですけど…
これは何?
いきなり家庭教師だとか言って、勝手に家に上がるわ部屋に入るわ。
まあ、待たせたあたしも悪いけど…
そんなことを考え始めるとだんだんムカッときちゃって
「…ていうか、女の子の着替え見ておいて謝罪の一言くらいないんですか?マナーとして。」
なんて言ってしまった。
あ…
やば。
気づいたときにはもう遅い。