恋愛マニュアル
「帰ってくださいって言われても、俺もうバイト代もらっちゃったし。」
「いいです別に。」
「それに、もうお母さんと約束しちゃってるしね?大人の事情でそれは無理。」
無理とか言われてもこっちが無理。
どうしてこんな人に…
「とりあえず俺の名前は宮村浩太。」
未だ壁に迫られたままのこの状態。
「今日のところは帰るから。1ヶ月嫌でもよろしくしなきゃだからよろしく。」
そう言って不適な笑みを浮かべたまま部屋を出て行く宮村浩太。
なんだったの…?
ほんの15分程度でこんなにも波乱万丈。
もうとっくに頭から抜けていたドラマも終わってしまっているだろう。
夏休み初日からこんな…
高校最後の夏休み。
ねえ…
お母さん。
あの人は、誰?
誰もいなくなったあたしの部屋で、あたしは1人腰が抜けたかのようにその場に座り込んだ。
どうなっちゃうの?