【短】最高の一日



「……泣いていたのか」

「!!」


的を得たその言葉に、
思考が一瞬停止した。




――――泣いてたこと、バレてる。


そうわかっているのに、慌てて
袖で乱暴に涙を拭った。

涙の跡まで、消してしまおう
とするように。




「やはり、何かあったのだろう?」

「……相楽には、関係ない」


ぶっきらぼうにそう言って、
体操座りをしている自分の膝に
顔を強く押しつける。


隣にいる相楽は、きっと
不安げな表情で私を見てる。


(なんで、来ちゃったの?)


頭の中で、そう呟く。




どうして授業をサボってまで、
私を探そうと思ったの?




.
< 6 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop