【短】最高の一日





――――――重すぎる沈黙。


私は耐えきれずに立ち上がって、
近くのフェンスに体を預けた。


所々針金が飛び出ているフェンスが、
私の重みでギシギシと音を立てる。


ふと相楽の方を向くと、案の定
彼はじっと私を見つめていた。

その表情は、真剣に授業を聞いている
時とも、必死で部活に励んでいる
時とも異なっていて……


私には、まるで別人のように映った。


その切なげな瞳を見つめていると、
吸い込まれてしまいそうな錯覚に陥る。


慌てて彼に背を向けると、
ゆっくりと足音が近付いてきた。

そしてそれは、
私の隣でピタリと止まった。






「今日は、快晴だな……」




.
< 8 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop