【短】最高の一日
――――――重すぎる沈黙。
私は耐えきれずに立ち上がって、
近くのフェンスに体を預けた。
所々針金が飛び出ているフェンスが、
私の重みでギシギシと音を立てる。
ふと相楽の方を向くと、案の定
彼はじっと私を見つめていた。
その表情は、真剣に授業を聞いている
時とも、必死で部活に励んでいる
時とも異なっていて……
私には、まるで別人のように映った。
その切なげな瞳を見つめていると、
吸い込まれてしまいそうな錯覚に陥る。
慌てて彼に背を向けると、
ゆっくりと足音が近付いてきた。
そしてそれは、
私の隣でピタリと止まった。
「今日は、快晴だな……」
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