【短】最高の一日



雲一つない空をフェンス越しに
見つめながら、相楽はそう呟いた。


突拍子もないその言葉に私は
そっと彼の表情を盗み見たが、

気付いているのかいないのか、
彼の視線は依然として快晴の
空を見つめている。






―――――――――刹那。




端正な横顔が、ふいに私の方を向いた。

視線を逸らす余裕もなく、私は
再びその瞳に捕らわれる。

今の私はまさに、
蛇に睨まれた蛙さながらだ。




「さ、がら……?」


なんとか口を開いて、彼の名を呼ぶ。

一瞬、その瞳が揺らいだように見えた。




また、しばしの沈黙。

聞こえるのは、風の音だけ。




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