《短編》聖なる夜に
不協和音の響く中迎えたのは、クリスマスイブのイブのイブ。


つまり、あと2日でクリスマスイブ。


今日も黄色い声の先に、相変わらずのエイジの姿。


だけどあれから気まずくて、お互い連絡していない。


“お互い”なんて言い方は多分、間違ってて。


あたしが連絡したくないだけ。


気まずいのも多分、あたしだけだろう。


きっとエイジが連絡してこないのは、他の子達で忙しいから。


だから面倒なあたしに、連絡してこないだけ。


だけど、こんなあやふやな終わり方って、ないじゃん。


でも、軽い付き合いだったわけだし、あやふやな方が良いのかもしれない。




『―――亜紀、呼んでるよ?』


「―――ッ!」



エイジ?!


そう思って振り返ってみたら、その姿はエイジとは全然違った。


ドアに立っているのは、隣のクラスの男の子。



『…告白だったりして。』


耳元でクスッと笑うミチに、瞬間、心臓が音を立てた。


だけど無視して、呼ばれた場所に足を進める。




『…久しぶり。
つーか、俺のこと覚えてる?』


「覚えてるよ~!
前に委員会一緒だったよね?」



隣のクラスの近藤くんは、同じ委員会で何度か話したことがあった。


だから、告白なはずがない。


だけど、呼ばれる理由に心当たりがない。


だってもぉ、あたしはその委員じゃないし。


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