春風に捧ぐ
Story.1 春風が吹く
高校の入学式後の教室は賑やかで、なのに私だけはその賑やかな輪の中にはいない。




私は見ているだけでいい。




今までもそうだったから。




私にとってこれが普通。




「真見がいんじゃん。また一人でいるしー」




同じ中学校だった金髪のいかにも不良そうな女の子が言う。


それを聞き付けたクラスメイトたちが一斉に視線を私に向ける。




まるで動物園のパンダになった気分。




…私はパンダみたいに人気者ではないけど、例えるならそんな感じ。


要するに不思議なモノを見るような感覚で皆私を見てる。




でも私は俯いて何も見えていないフリ。




こうすることが1番いいってことを中学生の時に学んだから。
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