雨のち晴れ
飛行機を降り、大勢の人混みをかきわけて
必死で母の姿を探した―。

(あっ!)

目の前には
手を振る母の姿と
小さな男の子の姿があった―。

(あの子が…)

まだ1歳ぐらいの
小さな小さな男の子。

母に抱かれているその男の子はこちらを見て笑っていた。

自然とあたしも笑顔になり急いでかけよった。

髪は伸び、痩せ細った母は優しい声で話し始めた。

懐かしい声、温かい笑顔で―。

いなくなったあの日から

時が止まった気がしてた。
寒く暗い闇の中で

ずっとさ迷っていた―。

そんな時

光が差し込む様に

あたしを救ってくれたのは
母の優しい笑顔でした―。

逢えてよかった―。
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