雨のち晴れ

母への想い

小6の雨降る季節―。

父の会社は倒産した。
3人の子供を養う為に
両親はスナックの経営を始めた。

子供だけでご飯を食べる事も増え、寂しさを感じる事も多くなったけど、それなりに幸せだった。

だけど、幸せな日々は
そう長くは続かなかった。

「キャー!」

突然部屋中に叫び声が響いた。

(お母さん?)

そっとふすまの隙間から
母の姿を探した。

そこには
怯える母の姿と
包丁を持った父の姿があった―。

毎晩店で酒を飲む父は
どんどん酒癖が悪くなり
母に手をあげる様になっていた。

母の体には
生々しい傷やあざが毎日増えていった。

そんな母の姿を
子供のあたし達は
ただ見ている事しか出来なかった。

ごめんね。

何もしてあげられなくて。
本当にごめんなさい―。
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