雨のち晴れ

危ない恋

友達にあの番号を聞いた―
初めて声を録音した。



<〜♪♪>

<もしもし>

震える手を抑え電話に出た。
声が震えて上手く話せないあたしを、その人は不安を取り除く様に優しく話しかけてくれた。

(この人となら…)

待ち合わせ場所に向かうあたしは不思議と不安はなかった。

初めて会う人―。

どんな人だろう。

逆に心は浮かれてたかもしれない。

<着いたよ>

あたしが着く少し前に
その人は待っていた。

優しそうな顔のその人は
あたしに気付くと、こちらまで車を動かしてくれた。
車の中で二人きり―。

あたしの事を気遣うように語りかけながら優しく手を握ってくれた。

近くのホテルに着くと緊張がピークに達していたあたしに

「大丈夫?無理しなくていいんだよ。」

そう言って優しく頭を撫でてくれた。

小さく頷いたあたしの手を握りしめ一歩ずつ階段を登る後ろ姿は暖かさが滲み出ていた。

部屋に着き抱き締めるその腕にあたしは身を委ねた。
お風呂を入れ一緒に入り
そっとキスをした。

今までにない暖かいキスを―。

あたしは恋に落ちたんだ。
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