雨のち晴れ

薬物

雨が降ってた―。

シトシトと寂しそうに
降り続けるその雨は
ずっと降り続けていた。
あたしの心に染み込んでいく様に―。

「シンナー吸いたい」

あたしが呟いた言葉に
男は軽く
「いいよ」
って一言だけ答えた。

何もかも忘れたかった。

ただそれだけの理由で

あたしはシンナーを吸った。
心地いい感覚に襲われ
吸ってる時は全てを忘れられた。

その夜―。

あたし達はひとつになったんだ。

心地いい感覚に襲われながらも涙は止まらなかった。
そんなあたしに気付いて
訳も聞かずに抱き締めてくれた。

温かくて力強いその腕には優しさが溢れていた―。
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