雨のち晴れ
別れ
母がいなくなった店は
経営が悪化し給料も払えず借金だけが膨らむ一方だった。

家賃も光熱費も滞納し
いつしか家には取立ての人が毎日来るようになった。
玄関の戸を叩く音が
怖くて怖くて
楽しかった学校も
不登校気味になった。

そんな生活に耐えきれず
あたし達家族は逃げる様に父方の祖父の家に
住み始めた。

周りには何もなく
目の前に牛がいる様な
ドが付くほどの田舎。

祖父は甘くなく
あたし達に家事を全てさせた。

嫌気がさしたのか
姉達は夜中抜け出し
朝帰りが頻繁になった。

広く真っ暗な部屋で1人ぼっち―。

(連れてって。)

その一言が言えなかった。
布団で顔を覆い

泣いていた。

母の様に
いなくなるんじゃないかと不安でいっぱいで―。
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