歪んだ愛
「ちょっと!!!その人、リホの彼氏だって知らないの!!!」
アヤコの、これでもかという程大きな声のする携帯を、私は耳から離した。
「リホ泣いて、死ぬって、カッター出して手ぇ切ろうとして!」
なんでカッターなんか、そんなサッと出てくるんだよ…。
危ない奴だなぁ…。
「とりあえず止めて、切りはしなかったけど、泣きまくっててやばそうだから今家まで送るけど、あんたサイテーな奴だねっ!!!」
………はぁ。
うるさい。
アヤコの叫びに似た声は、耳から離された携帯から、おもしろいほど、静かな車内に響いていた。