歪んだ愛






尚も続ける、
初対面に、
意味不明なセリフ。






何こいつ。

な、

私の視線を無視するように。




いや。

全く見ていないかのように。






「あ!!
そうだ!
待って。もう一つあった!!」






と、
私の左横、路駐の車へ急いで半身突っ込み、




何やらポケットにしまい込んで、
またも、急いで戻ってきて…





さっきの左手の上の犬と、向かい合うようにもう一つ犬のおもちゃを、
さらに左手に乗せて。




懲りもせずに、
私の口元に差し出した。






そして。



「はぁぁ…。してみ?」




と、
無邪気な顔して、


たぶん、
私の溜め息の真似をした。






それが、
コウ。だった。






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