俺は男になりたかった。
1章

出会い

「―――っ、俺は男だ!触るんじゃねぇ!」


人気のないビルの一角に、その声は響いた。


「どう見ても女の子じゃん♪可愛い顔して勿体ないよ〜」


確かにその胸は少し膨らんでいた。


童顔、ちび、まるで女の子。


「触んなっ」


き、気持ち悪い…!息かかってるよ、息!!


寒気がはしる。


「…触るなって!糞野郎!!」


バコッ


「ぃっ…て!」


細い腕が顔面を見事捕えた。


「この糞アマ!」


それがかえって男のプライドに火をつけたのだろう、男がさっきよりも力を強めた。


胸元のシャツが虚しく音をたてて破かれる。
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