俺は男になりたかった。
「この人が、雅弘が。……僕を女でよかった、いや、女じゃないとだめだったって分からせてくれた」


そう言って夢美と雅弘は顔を見合わせて笑う。


よく意味がわからなかった。


そんな俺を見て、夢美さんは話を続けた。


「海里ちゃん…よく聞いて?『Trans sexual(トランスセクシュアル)』は、性転換手術まで望む人達のこと。
『Transgender(トランスジェンダー)』は、性別を変えるところまでは望まない人達のこと。
ここまでは知ってるよね?」


「はい」


自分の病気のことだから。


わかっていても、自分は女ということを認めれない。


嫌悪感はある。


でも認めれない。認めれない。


それが性同一性障害の怖さ。


……でも俺は性転換まではしたくない。


まさに典型的なトランスセクシュアル。


夢美が言った。


「僕はトランスジェンダーだった」
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