俺は男になりたかった。
物心ついたときから俺は男だった。




『おかあさん、ぼくのおともだちみんなズボンなのに、なんでぼくはスカートなの?』


『海里〜!わ、た、しだよ?わ、た、し!海里は女の子なんだから』


母さんがそうずっと言い続けてきたのも覚えてる。


"女の子なんだから"


え?ぼくはおとこのこでしょ?




『母さん、俺は男なんだよ』


そう打ち明けた13歳の夏。


『…〜っ、何を言ってるの!?あなたは女の子よ!変な事言わないで!』


『…いいよ、認めてくれないなら。もういいよ』


正直親にがっかりした。


認めてくれると思ってたから。



その夜


『〜……でしょ!!――!』


五月蝿くて目が覚めた俺。


『母さんー…?』


そう言おうとして言うのを止めた。


最悪な言葉。


完全に親を信じられなくなった。
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