俺は男になりたかった。
『あんな気持ち悪い子産んだ覚えないわ!桐谷家の恥よ、恥!なにが男よ!あーー、虫酸が走る!!ねぇあなた、そう思わない?』


その場から動けなかった。


母さん、何を言ってるの?


俺の事?俺の事?


キモチワルイコ?


理解できなかった。


でもまだ父さんが居た。


……父さんなら―――


でも現実は過酷な物。


『あぁ、そうだな』






おぃ、父さん?


2人共?


俺は必要なかったんだね。


ね。






その日を境に、俺は家族と口をきかなくなった。
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