俺は男になりたかった。

◇◆◇◆◇◆◇◆

雅と出会って早くも半年。



「ああ、そうだ海里。俺の家来ないか?面白いDVD借りてきたんだよ」


大学1年生の雅はよく俺を遊びに誘ってくれた。


高校2年生の俺なんか相手にしてていいのかよ?と俺が聞いても


楽しいからいいんだよ、とニコニコしながら答えてくれた。


「会わせたい人も居るんだ」


………?


「…おう!わかった」


「じゃあな」


俺の病気については何も触れてこないのが居心地よかった。


「明日雅ん家行くよ」


何気ない会話が好きだった。


思えばこのころから、奥の奥の奥深くにある俺の女の心は、雅に惹かれてたのかもしれない…な。
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