あたらしい世界
と、声をかけられた。


音々先輩だった。


「あ、えと、えーと、……そう、トイレに行こうとしてたんです」


どもってるし、あからさまに言い訳だって自分でも思った……。


「そう。失礼」


音々先輩は、そんな私の様子に気づいてるのかいないのか解らずに、にこっと笑って立ち去った。


――また、きっと部長絡みだと思われたな……。


別に私たち、そんな関係じゃないのにな。


あ、部長にメール返信しなきゃ。


練習室の鍵を閉めるために、最後まで残ってるはず。

これ以上サークル員に出くわし、何か言われるのを回避するため、私はとりあえずトイレの個室に行き、そこでメールを打った。


『行きます。正門前で待ってます』
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