あたらしい世界
部長のアパートは、相変わらず整頓はされているものの、壁とかカーテンはボロボロになっていた。
私はそれに関しては一切何も言わなかった。
キッチンを借り、牛スジの煮込みと、ポテトサラダ、そして冷凍のものを水で戻したえだまめを用意した。
そして、まだ空は茜色の頃、私たちはビールで乾杯した。
「料理、上手だなー、もえぎちゃん」
えだまめをついばみながら、食卓に並べられているものを見て部長は言った。
「料理上手というか……、部長、えだまめばかりじゃ栄養偏りますよ」
「うん。とりあえずえだまめ」
「好きですねー」
お酒をかけたのであろう、黄味がかったベトベトする壁に部長はよっかかった。
「8月になったらしばらく練習はお休みですよね。部長、実家に帰ってしっかりご飯食べてくるんですよ」
部長の実家は確か山形県の米沢だったはず。
冬にはどか雪が降って、雪で玄関は封鎖されるので2階の窓から出入りするというのを聞いたことがある。
「実家、か」
そう部長は呟くと、鼻とアゴをつい、と持ち上げてふむ、と言った。
私はまた、部長のそんなポーズをする癖が出た、と内心嬉しかった。
「しばらく帰ってないな」
「お正月以来ですか?」
私が尋ねると、部長は首を左右に振って、
「いや、入学以来」
と、サラッと言った。
私はそれに関しては一切何も言わなかった。
キッチンを借り、牛スジの煮込みと、ポテトサラダ、そして冷凍のものを水で戻したえだまめを用意した。
そして、まだ空は茜色の頃、私たちはビールで乾杯した。
「料理、上手だなー、もえぎちゃん」
えだまめをついばみながら、食卓に並べられているものを見て部長は言った。
「料理上手というか……、部長、えだまめばかりじゃ栄養偏りますよ」
「うん。とりあえずえだまめ」
「好きですねー」
お酒をかけたのであろう、黄味がかったベトベトする壁に部長はよっかかった。
「8月になったらしばらく練習はお休みですよね。部長、実家に帰ってしっかりご飯食べてくるんですよ」
部長の実家は確か山形県の米沢だったはず。
冬にはどか雪が降って、雪で玄関は封鎖されるので2階の窓から出入りするというのを聞いたことがある。
「実家、か」
そう部長は呟くと、鼻とアゴをつい、と持ち上げてふむ、と言った。
私はまた、部長のそんなポーズをする癖が出た、と内心嬉しかった。
「しばらく帰ってないな」
「お正月以来ですか?」
私が尋ねると、部長は首を左右に振って、
「いや、入学以来」
と、サラッと言った。