あたらしい世界
「ああ、そうするかー」


と睦緒。


「おつまみ……」


と、また苦笑して言う聖二。


私の一人暮らしのアパートは、サークル員の中でも大学から一番近い。


サークル部室棟の中にある、小ぢんまりした部室の次に、私の部屋はサークル員のたまり場になるんだ。


そして、私たちはコンビニでお酒を少し買い、私の部屋でゴロゴロし、お昼にはチャーハンを作り、酒を飲み、3人でうとうとと昼寝をし、やがて夕方になった。


私はベランダから暮れゆく夕空を見ていた。


「ふあああああっ、と」


大きなアクビが部屋の中から聞こえてきた。 


睦緒がどうやら起きたらしい。


私は部屋の中に戻った。


時計を見ると、4時半を回ったところだった。


聖二は天使のような寝顔ですうすうと寝息をたてていた。


私と睦緒は、穏やかに眠っている聖二に近寄った。


「それ!」


睦緒のかけ声を合図に、私たちは聖二をくすぐり始めた。


「うわっ!」


聖二は大声をあげ、大きく体をくゆらせた。


睦緒は、聖二の脇とお腹。

私は足をくすぐっていた。

「やめって、やめ……キャハハハッ、やめろって」


聖二は異常なほどくすぐったがりやなんだ。


黙々とくすぐり続ける私たち。


笑いながらのた打ち回る聖二。


「わかった。ヒェ。わかった。ギブギブ」


聖二がギブアップを示したので、私たちはくすぐるのをやめた。


「はー」


寝そべったまま、ぐったりする聖二。


「やめろよなー」


聖二は力なく言った。
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