あたらしい世界
去年は、おそろいのTシャツをつくったっけな。

編成の名前“さえぴゅー”とでかでかとプリントされた、蛍光ピンクのどぎついやつ。


全体合奏の時は、皆スーツで椅子に座って譜面を見ながら演奏するけれど。


編成の時は、はっちゃける。


部長はうなりながらも、私の足を見た。


包帯でぐるぐる巻きの足。

靴に足が入らないから、素足で行動している。


「座って演奏すっか」


「はーい」


「ラジャー」


聖二と睦緒が元気よく返事。


「もう一曲は、何にするか考えておくわ」


「はーい」


「ブラジャー」


「……今、ブラジャーって言った奴、クビ」


「ええっ。そんなぁ。この睦緒くんがいないと、成り立ちませんよぉ」


と、睦緒は部長にすがりよる。


「もえぎちゃんが、睦緒の分をカバーするさ」


部長はそう言うと、ちらっと私の方を見て、にこっと笑った。
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