あたらしい世界
いつ見てもお嬢様気質だなー、音々先輩。


色を抜いた髪の毛はふわふわパーマのロング。


濃い目に描かれた眉。


スッと伸びた背筋。


美人だよなー。


近寄りがたい感じだけれども、キライではない。


ホルン吹いている姿も、見目麗しい……。


このサークルを立ち上げた当初からいる幹部のひとり。


だから、サークルに音々先輩の名前が入っている。音楽の“音”という字も入っているからグッドネーミングといったところ。


「今、発表します。詳細はあとでプリントを配るのでそちらで確認してください」


サークル員を半分ずつの編成にする。


――ごくん。


私は息を飲んだ。


仲良くなれるチャンスだ。

神様――。


「えー、では、第一編成から。フルート、若宮和哉、法林冴江。クラリネット、段原理央、室木莉胡、森町秀樹。ホルン――……」


「別々になっちゃったね」と名前を呼ばれた莉胡が私につぶやかれ、左隣から聖二に「オマエと一緒かよー」と嫌がられ。


今、名前を呼ばれなかったということは、第二編成のメンバーになるっていうことだ。


「コントラバス、月見坂涼星――……」


オーボエが言われていない。


ということは。


部長と同じグループだ……。


東雲部長は4年生だから今年度で卒業してしまわれる。


今年で最後のチャンス。私はモノにした。


嬉しー……。
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