はちみつな彼の裏事情

「あ…ごめんね。
桜田さんの携帯から鳴らしてるだけなんだけど、鳴らなくて…つい何回もやっちゃってた…
ほかに何も見たりしてないけど、気を悪くしたならごめんね」


そうだったのか!
携帯ないって言ってたし、考えてみればそれくらい分かったのに。
私は自分が悪いことをしたような気持ちになってしまった。返して!なんて強く言う必要はなかったのに、って。


「なんで携帯鳴らしても鳴らないのかな?マナーモードなのかな…」

鈴木くんは結局鞄をあけて探しだした。


鞄の中身をすべて出してから

「家に忘れてきたのかも…」

と言って、鈴木くんは悔しそうな…残念そうな顔をしたけど、すぐに私に、迷惑かけてごめんね、ありがとう、と笑ってみせる。

これくらい大したことないのに…
ちゃんと謝ったり、お礼いったり…
本当に優しいし、しっかりしてるし、
鈴木くんのこと女子みんなが憧れるのもわかる気がする。
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