はちみつな彼の裏事情
他には何も聞こえないくらい、私の耳は鈴木くんの次の言葉に集中している。
「桜田さんだけなんだ」
「なにが?」
私は訳が分からずついつい聞き返してしまう。
「桜田さんだけが俺に冷たくするっていうか…
俺なんか顔だけでみんなに優しくされてるもんだからさ…なのに桜田さんは冷たくするなんて…て思って…」
鈴木くんは続ける。
「だから
もしかしたらこの子は俺の顔じゃなくて性格まで知ろうとしてくれるんじゃないか
って思ったんだ…
それでいつの間にか惹かれてた。」
鈴木くんの声が震える。
抱き寄せられているから、顔は見えないけど
おそらく鈴木くんは顔を赤くしてたと思う。