はちみつな彼の裏事情
「ごめん、わたしそこの席だから、座りたいんだけど…」
あのー、なんて声をかけてみたり、いろいろと頑張って、鈴木くんの席の周りにいる女子たちに言う。
「あ、ごめん。」
気づかなかった、ごめんねーと言いつつもなかなかどかない女子たち。
一度その場を離れると場所取りが困難になるようで、一向にどこうとはしてくれなかった。
もー本当にどいてよ!!
心の中では強く言ってみたり。なんて気の小さい私は言えないんだけど。
なんだか私もその女子たちの間に混ざって鈴木くんを囲むような形になっているようだった。…違うのに。
はぁ、なんてあからさまにため息をついてみても状況が良くなりはしないけど、それでもため息が出る。
「どいてあげな」
不意に聞こえた声のほうに目をやった。