命の贈り物

その日は雨の降る寒い日だった。





激しく降り続ける雨と荒れた風で交通機関は大幅に乱れていた。





颯太はようやく仕事を終え、かなえの待つ自宅へと向かっていた。





高校を卒業して1ヶ月が経とうとしている。





婚姻届を数日後に出そうと二人で約束をしていた時のことだった。






降りしきる雨の音がかなえには不気味な足音のように聞こえて仕方がなかった。




残業を終えて帰ってくるであろう颯太のことを今か今かと冷めていく夕飯を前にかなえは待ち続けていた。





「遅い、な……。」





不安な気持ちを拭い去ろうと声にしてみるが、返ってこない返事がより一層不安な気持ちを掻き立てる。





だがこの雨だ。




きっと交通機関が乱れているのだろう。




そう思い、かなえは濡れて帰ってくるであろう颯太のために夕飯を再び温めなおした。





その時だった。





一本の電話が、かなえのもとに掛かってきた。





プルルルル……