命の贈り物
かなえは鞄だけを持ち、家を飛び出した。
……─────水嶋颯太さんのご自宅ですか?
聞きたくない……。
……─────中央警察署の町田、と申します。
やだ……何も、言わないで……。
……──────奥さん、でしょうか?
……─────はい……。
……─────実は旦那様が……。
いやだ……やだ……それ以上……
……─────それ以上言わないで!
……────えっ……?奥さん……?
……─────あ、すみませんっ……それで……?
ほらね。
今まで勘が当たったことは一度もないのに。
嫌な予感だけは当たるんだ。
降りしきる雨の中、かなえは傘もささずに病院へと走っていった。