命の贈り物
翌朝。
玄関で孝志が私を呼ぶ声がする。
「ごめん、おまたせ!」
「いいよ。今日はおばさんいないんだね。」
走って玄関に向かうと、孝志が笑顔でそう言って待っていた。
「うん、仕事みたい……。最近はあんまり顔、合わせてないんだよね。」
寂しそうに言う美沙の手をそっと孝志の手が包み込んだ。
「大丈夫だよ。きっと。今だけだよ。」
「うん、そうだよね……!」
手から伝わる温もりに安心する。
「涼……は……?」
「何か用事があるとか言って早くに行ったよ。」
「そう、なんだ……。」
わざと、避けてるのかな……?
すごく、不安になる。
「さ、遅刻しちゃう。急ご。」
孝志が私の手をひいて歩き出す。
引っ張られるようにして私の足も前へと進んだ。