命の贈り物
学校の図書室では涼が樹に呼び出されていた。
「何だよ、こんな朝早くに。」
眠そうに涼は樹に言う。
「悪いな。話があって……。」
「話……?何だよ?」
「春にさ、俺に好きな奴がいるって話しただろ?」
……あぁ
『イツキの恋♪』
そう言えば言ってたかもしれない。
さほど興味のないことだったのかすっかり記憶から抹消されていた涼は理解するのに時間を要した。
「で、それが何だよ?」
「一言、釘を刺しとこうと。」
「?」
樹は深呼吸してから続けた。
「俺、サキちゃんが好きだから、手出すなよ?」
「何でいきなり……。」
「最近、お前ら仲良さそうだしさ……なぁ、サキちゃんのこと好きなのか?」
心配する樹をよそに涼はフッと笑い、答えた。
「別にお前が思ってるような関係じゃない。心配すんな。」
それだけ言って涼は図書室をあとにした。