命の贈り物


樹はしばらく図書室で椅子に座っていた。




好きな子の好きな人って周りの人よりよく分かるもんだ。





それでも俺は、咲ちゃんが好き……。





涼にその気がないのなら、俺にだってチャンスはあるのだから……。





樹は大きく深呼吸をして、その場を去った。




「SHR始めるぞ。」




ガヤガヤと賑わう教室に担任が入ってくる。





何だか今日は配布物が多そうな、そんな感じがする。




両手いっぱいのプリントたち。





冬休みが近づいている証拠。





「……それから来年はいよいよ受験生になるんだ。そのため、この冬休みから補習を始めることになった。そのプリントを……。」





一枚一枚説明しながらプリントを配っていく担任。





5分しかないショートでは到底足りない……。





そんなことをぼんやりと考えながら私は配られるプリントを読みもせず鞄へ入れた。





冬休みは、もうすぐ。




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