命の贈り物
「何だよ、俺、早く帰りたいんだけど。」
涼はダルそうに、そう言いながら椅子に腰掛ける。
「俺、この間お前にここで言ったよな……?」
睨みつけるように涼を見ているのは樹。
ここは、図書室。
教室につくなり、涼は樹にここまで引っ張られてきたのだ。
「何をだよ?」
「とぼけんのかよ!?」
樹がイライラしている様子は誰が見ても分かる。
「別に。」
「ふざけんな!」
冷静な態度の涼の胸ぐらをつかみ樹はさらに声を荒げて言った。
「お前に、俺は言ったよな!?お前は、俺に言っただろ!?」
『そんな関係じゃねぇよ。』
『手、出すなよ?』
「見損なった。お前がそういう奴だとは思わなかった。」
樹は涼から手を離し、図書室を出ようとした。
「失恋したからって、人に当たってんじゃねーよ。」
その言葉に180度振り返り、再び涼の方を向く。
「お前って、ほんとサイテーだな。」
勢いよく扉を閉めて、樹は図書室をあとにした。
「んだよ……殴ればいいのに……。」
残された涼はそう呟いて、しばらくそこに立ち尽くしていた。