命の贈り物
ガラッ
しばらくして図書室の扉が開かれた。
「こんなとこにいた……っ。ショート始まるよ。」
咲が涼のもとに近寄りそう言えば、SHRの始まりを告げるチャイムが鳴る。
「あぁ、今行く。」
涼は咲と共に図書室をあとにする。
「ねぇ、今週の土曜日、映画とか行こうよ!」
咲が笑顔で涼を誘う。
「ん?あぁ……いいけど。」
それを上の空の様子で涼は答える。
「じゃあ、ミサたちと行こう?」
「あぁ、何でもいいよ。」
「……何か、上の空だね。」
涼の態度に不満そうに咲は頬を膨らませる。
「そんなことねぇけど。」
「何かあるんなら話してよ。」
「何もねぇよ。」
冷たい態度に咲はそれ以上は何も言えなかった。
「そっか……。」
教室に着けば、まだ先生は来ていないようで、まだ騒がしかった。
咲は黙って自分の席につく。
涼もまた、何事もなかったかのように席についた。
樹はずっと、涼の方を見ようとはしなかった。