命の贈り物
「美沙?」
手を止めている私を見て、孝志は不思議そうに私の顔を覗き込んでくる。
「あ、ごめん。ちょっとボーッとしてた。」
「何か心当たりがあるの?」
「ううん!!そんなんじゃないよ!!」
「そう……。」
そのとき、屋上への階段を駆け上がる音が聞こえ
バンッ!
屋上の扉がおもいっきり開かれた。
そこには、咲が慌てた様子で立っていた。
「サキ?どうしたの?」
「ミサ……ミサ……涼が……涼が……。」
「サキ、落ち着いて。涼がどうしたの?」
咲の言葉と様子に不安を感じつつ、私は咲を落ち着かせる。
「涼が……涼が倒れたの!」
「え……?」
自分の中で、頭が白くなっていくのが分かる。
涼が……?
一体どうして――――…?