命の贈り物


咲と孝志と一緒に廊下を走る。



ガラッ




保健室の扉を開くと、そこには養護教諭の先生が薬品棚の整理をしていた。




「保健室ですよ、静かに扉はあけてください。」




「……すみません……あの、涼……榊原くんは……?」



私がそう言うと




「今は落ち着いてるわ。」



そう、優しく先生は言った。



「一体どうして……。」




「何でもねぇよ。いちいち大勢で押し掛けてくんな。」




カーテンの向こうから涼の声がする。




「そんな言い方ないでしょ!?私たちは心配して……。」




「余計なお世話なんだよ。ばーか。」




むかっ。




「ちょっと涼、いい加減に……!」




私が怒ろうとしたとき、孝志が私を止めた。




「涼。僕は君が何か隠していることぐらい、前から気付いてたよ。ただ、君が言いたくないのなら、話したくなるまで待つつもりだった。」





孝志は涼のいるベッドへ向かい、カーテンを開ける。



「でもそれは、周りに心配をかけてまで隠したいことなのか?友達を失ってまで、守りたいことなのか……?」




< 159 / 219 >

この作品をシェア

pagetop