命の贈り物
咲と孝志と一緒に廊下を走る。
ガラッ
保健室の扉を開くと、そこには養護教諭の先生が薬品棚の整理をしていた。
「保健室ですよ、静かに扉はあけてください。」
「……すみません……あの、涼……榊原くんは……?」
私がそう言うと
「今は落ち着いてるわ。」
そう、優しく先生は言った。
「一体どうして……。」
「何でもねぇよ。いちいち大勢で押し掛けてくんな。」
カーテンの向こうから涼の声がする。
「そんな言い方ないでしょ!?私たちは心配して……。」
「余計なお世話なんだよ。ばーか。」
むかっ。
「ちょっと涼、いい加減に……!」
私が怒ろうとしたとき、孝志が私を止めた。
「涼。僕は君が何か隠していることぐらい、前から気付いてたよ。ただ、君が言いたくないのなら、話したくなるまで待つつもりだった。」
孝志は涼のいるベッドへ向かい、カーテンを開ける。
「でもそれは、周りに心配をかけてまで隠したいことなのか?友達を失ってまで、守りたいことなのか……?」