命の贈り物
第九章 天使のカード
「昨日のドラマさー。」
「だから彼がね?」
教室に入ると、いつもどおりの景色が広がっていた。
昨日、涼から聞いた事実。
それはとても残酷なものだった。
ずっと病気で一人悩んでいたことに、どうして気付いてあげられなかったんだろう……?
『どうして言ってくれなかったの……っ!?』
あの時、私は動揺しながらも涼に言った。
『言ったって何も変わらないだろ。』
『そんなことない!』
『じゃあ、どう変わったんだよ?』
『それは……。』
何も言えなかった。
私は、無力だ。
所詮、高校生で、子供で……。
自分の力で何かをするには、力が足りなすぎる。
死にたくない
そう言った涼は、私の知っている涼よりも、遥かに弱々しく見えた。
私の力じゃ、何も変わらない……。
悔しくて悔しくて
それ以上、何も言うことは出来なかった。