命の贈り物
「サキ……よく、頑張ったね。」
私は咲に言った。
よく、現実と向き合ってくれたね。
「ドナーカード……。」
「え?」
咲の言葉がよく聞こえず、私は聞き返す。
「ドナーカード、私も持つね。」
「……うん!」
そうだよ、私たちは現実と戦わなきゃいけないんだ。
小さなことでもいい。
出来ることから始めよう。
放課後、私たちは近くのコンビニへ、臓器提供意思表示カードを貰いに行った。
カードに名前を書く咲を私はずっと見ていた。
咲は、自分の力で現実を認めることができた。
咲は、強いね。
私は何も咲の力になれなかった。
自分の弱さが憎かった。
いつだっただろうか。
お父さんとお母さんの写真を見つけて落ち込んでた時、買い物に誘ってくれたのは咲だったね。
いつだって私を助けてくれたのに。
今回、私は咲の力になれなかった。
それが悔しくて悔しくて。
すごく憎らしかった。