命の贈り物



それから毎日、私は咲、孝志と共に涼のお見舞いに通った。


相変わらず涼は冷たかったけど……。




そうしているうちに、気付けば私たちは高校3年生。最後の難関。


受験シーズンを迎えていた。



進路なんて考えてもいなかった。



早い人は夏休みに決まっている。




私は最初から一般入試でセンター試験を受けようと思ってたけど。



まだ志望校すら決まってない。
お母さんに大学は絶対に行きなさいと言われているから行くけど……。


正直、私はこのまま就職してもよかった。



先生からは幾つか、推薦の話もいただいてる。




でも、行きたい学校も決まってない自分が、推薦入試を受けようなんて虫がよすぎる。




ただ早く、受験から逃れたいだけじゃないか。




本当に、その学校に行きたいと思ってなきゃ、推薦なんて受験するべきじゃない。




私はまた一つ、ため息を吐いた。





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