命の贈り物
それからは、ずっと部屋にこもってた。
ふと、机の上にあった孝志の本が目に入った。
「…返しに行こ。」
私は立ち上がり窓を開けた。
隣の窓を叩く。
孝志が窓を開ける。
「…だから玄関から来いよ。」
そう一言だけ、孝志は言ったが招き入れてくれた。
「はい、本。ありがとね。」
私は本を孝志に渡す。
「あぁ、いいよ。面白かったか?」
「難しい。」
「だろうな。あ、これなら読みやすいし面白いよ。」
そう言って孝志はまた私に本を貸してくれた。
部屋に来る理由をつくるために…。