命の贈り物
「コーヒーで良かった?」
孝志が二つマグカップを持ち、部屋に戻ってきた。
「あ、うん。」
私はマグカップを受け取った。
そして、一口飲む。
温かい。
そのコーヒーはとても温かかった。
涙が出てきた。
自然と涙が溢れてくる。
孝志はハンカチを取り出して、私に渡してくれた。
「大丈夫?」
孝志が聞く。
こういう時、どうしたの?と聞かないのがやっぱり孝志だ。
「コーヒー…。」
私はそう一言やっと言った。
「不味かった?」
「ううん、あったかかったの…。」
「そっか、良かった。」
孝志はそう言って微笑んだ。